フリー・無料トレンド
クリス・アンダーソン著
初めてこの本を手にし、読み始めた時、何か独特な感じに襲われた事を思い出す。早い話、立ち読みだったのだが、今日ようやくオリジナルが手に入ったので、報告がてらここに書いている。紀伊国屋書店・新宿本店には、いろいろ世話になった。
読後レビューには色々あったが、熱心さがよく伝わる、佳作翻訳だと思う。内容は、今まで世間が、何となく感じてきた事を、「フリー・無料化」と云うキーワードで斬って見せたところに、大いなる価値があるのだろう。確かに有料と無料の対比で、マイクロソフトとリナックスの関係は面白い。勿論われ等としては、殆ど強制的に、ウインドウズの買い替えや、新ソフトの購入を迫られて来た方であるが、それはそれで、結構楽しい経験でもあった。そして何より、膨大な無料ソフトに助けられて来た歴史的経過でもある。
また、ハードカバーからペーパーバックスに版を改める際に、加えられたコメントが面白い。やはり「自由な国・アメリカ」でも、新思想や新提案には、相当の反発や抵抗があるようで、せっかく居心地良く暖まっている「体制側」にとって、「新体制」は、常に不愉快なものであるらしい。似た様な日本の状況を思い出しながら、ついつい笑えてくる今日この頃だ。
ここでは、C.アンダーソンの発する「フリー」が、どの様にして「いのち・生活主義」に展開して行くのかを、明らかにして行きたい。
大げさに云えば、具体的日程にまで上がって来た「地球温暖化」を含め、「旧体制」が、ガラガラと音を立てて崩れつつある時なのだ。つい先日、黒人のオバマが、アメリカ大統領になった訳だが、世界の誰がそれを予測し得ただろうか?この日本でも、封建徳川の太平をむさぼる自民・公明の与党が、つい昨日、野党に転落してしまった。
オバマ大統領を決めたのは、従来の金持ちや有力団体ではない。まさしく、インターネットを中心とした、グラス・ルーツと呼ばれる、名も無き草の根民主主義の人々だった。つまり、従来声無き声として、無視・排除されて来た人々が、直接民主主義として、インターネットと共に、躍り出てきたのだ。
そして、インターネットを産み落とし、大発展させた所こそ、進歩・革新の西海岸ではなかったか?今やシリコンバレーは、伝説上の場所となっている。勿論、利益第一主義を徹底するマイクロソフトもあるが、評価の高いグーグルやアップルを含め、営利企業ながら、社会的企業としての美学やポリシーを持ち合わせている所が、なかなか泣かせるのだ。
つまり、従来「資本主義体制」では、獲物とハンターの関係だった訳だが、ツールとしてのインターネットから、好むと好まざるとに関わらず、インターネット・直接民主主義に引き込まれてしまった事が、双方とも計算外だったのだ。
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